あらゆる業界で採用されるプラットフォーム型ビジネスモデル

Apple、Google、Amazon、Alibabaなど、プラットフォームベースのビジネスは今や至るところに存在し、ゲーム業界から金融業界まで幅広い産業で破壊的イノベーションを巻き起こしています。プラットフォームビジネスの概念は特に目新しいものではありませんが、多くの企業がインターネットの多大な影響力を認識し、プラットフォーム型ビジネスモデルへ移行しようとしています。

プラットフォームを端的に言えば、エコシステム内のステークホルダー間で相互に影響を与えあうビジネスモデルです。これは必ずしもテクノロジーツールであるとは限りません。近年のプラットフォームの成功例として典型的なのは、IT業界におけるさまざまな製品やサービスを連携させるものです。

ほかにも自動車業界では、一部の自動車メーカーは車の販売からモビリティコンセプトの販売へと戦略を転換しました。購入頻度が低く多額の初期投資が必要な売り切り型のモデルから、低価格で利用頻度も高いサービス(カーシェアリングなど)を中心とするサブスクリプションモデルへのシフトによって、自動車メーカーの経常収益向上および顧客エンゲージメント強化の両方を実現できるのです。

 

最適なプラットフォームを選択するには

市場にはさまざまなプラットフォームが存在しており、その種類ごとにプラットフォームの所有者とエコシステム内のステークホルダーが享受できるメリットは異なります。では、自社のビジネスに合ったプラットフォームを選定するにはどのようにすればよいでしょうか。

既存のプラットフォーム企業についてのノウハウを生かすことで、プラットフォームを自社の業界に合った形へとうまく適用することができるはずです。ここでは3つの主要なプラットフォームモデルをご紹介します。

  1. 多面的プラットフォーム
    Airbnbのような多面的プラットフォームでは、プラットフォームリーダーが市場を提供し、その市場で製品やサービスプロバイダーが顧客とつながります。この場合、プラットフォームの所有者はサービスブローカーのような役割を果たし、仲介役として両者がお互いにコミュニケーションを図れる手段を提供します。
  2. 産業プラットフォーム
    産業プラットフォームでは、他の企業にアプリケーションや製品を開発するための技術的基盤を提供します。例えばインテルは、HPやLenovoなどのハードウェアメーカーにマイクロプロセッサを提供し、メーカーはその基盤を使い自社製品を作ってクライアントに直販します。その場合、プラットフォームの所有者はソリューションインテグレーターという位置づけとなり、顧客とは直接的にコンタクトを取りません。
  3. 多面的な産業プラットフォーム
    多面的な産業プラットフォームは、上記の2つのプラットフォームの中間のようなモデルです。この場合、プラットフォームの所有者は他のステークホルダーに開発基盤を提供すると同時に顧客との関係管理も行います。

例えばAppleはiOSプラットフォーム、GoogleはAndroidプラットフォームを提供しており、それぞれのプラットフォーム上で動作するアプリケーションを外部の開発者が作成できるよう開発者用のツールを提供しています。開発者はプラットフォーム向けに技術革新を行うとともに新しい製品・サービスを作成し、AppleやGoogleはその製品・サービスをクライアントに販売します。

この場合、プラットフォームの所有者はオーケストレーターという位置づけになります。各企業がサービスを開発できるようにし、さらにそのサービスを販売することもできるため、1つのプラットフォームから二重の価値を得られるようになります。

この多面的な産業プラットフォームでは、プラットフォームの所有者が享受できる価値が最も大きいため、多くの企業はこのモデルへシフトしようと検討しています。例えば自動車のOEMメーカーは、外部の企業がコネクテッドカーを中心とするサービスエコシステムを開発できるようAPIプラットフォームを作成することで、多面的な産業プラットフォームの分野に進出しています。

 

多面的な産業プラットフォームの領域で成功するには

とはいえ、どのようにすれば多面的な産業プラットフォームで成功を収めることができるのでしょうか――。それは開発者と顧客のために価値を創造することにほかなりません。多面的な産業プラットフォームを成功裏に構築するためには、以下の3つのポイントがカギとなります。

  1. プラットフォームをオープンに保つ
    プラットフォームはオープンである方が成長ははるかに早いと言えます。そのために、自社のプラットフォームが他の企業とクライアントの双方にメリットを与えられる方法を見出さなければなりません。しかし、この課題は永遠のジレンマであり、「鶏が先か、卵が先か」という問いと同義です。プラットフォームに開発者とアプリケーションが存在しなければクライアントは集まってくれませんし、クライアントが存在しなければ開発者はプラットフォームに興味を持ってくれません。多くのユースケースをサポートするオープンなプラットフォームでなければ双方にとって有益なプラットフォームにはなりません。
  2. 優れたソリューションオーケストレーターになる
    市場の中で、開発者と顧客両サイドの仲介役であるオーケストレーターとしての自社の役割を理解する必要があります。プラットフォームのリーダーは、プラットフォーム上でのイノベーションの創出を促すために、開発者にツールやリソースを提供する必要があります。さらに、プラットフォームのリーダーはプラットフォームのエコシステムを強化するために開発者と顧客とのエンゲージメントも強化しなければなりません。
  3. エコシステムを育てる
    最後に、「知的財産を守らなければならない」という既成概念を改める必要があります。研究開発を社内だけに閉じ込めるのではなく、パートナーがプラットフォームの成長に貢献できるようにしなければなりません。

以上に述べた3点を実践していくことが、多面的な産業プラットフォームの構築、そして変革への条件となるのです。