チューリッヒ・インシュアランス・グループは、スイス最大の保険会社で、フォーブス・グローバル2000の上位100社にランクインしています。世界中の210を超える国・地域で約5万3000人の従業員を擁し、サービスを提供しています。グループのリーダーシップチームの一員で、グループのITサービス責任者でもあるトーマス・クロップ氏は、テクノロジーがもたらすチャンスを最大限に活用して、同社の顧客および従業員により優れたエクスペリエンスを提供できるよう取り組んでいます。

 

――デジタル戦略の事業目標のうち、最も重要なものは何ですか?

クロップ氏:弊社では、イノベーションを通じてカスタマーエクスペリエンス(CX)を変化させようと取り組んでいます。戦略の3つの柱は、お客様中心主義、イノベーション、シンプル化ですが、すべての中心に据えているのはお客様です。

その中で、あらゆるモノにつながるコネクティッド化が進むライフスタイルを送るお客様に、より良いサービスを提供するにはどうすればいいのか、ということに焦点を当てています。デジタルイノベーションにより、お客様それぞれにカスタマイズされたリスク保護を提供しています。

また、より効率性を高め、リソースを最大限に活用できる方法も模索しています。このアプローチは、お客様のCXの向上にもつながるもので、一例としては、保険請求のための新しいデジタル機能の導入が挙げられます。これは保険請求処理の質とスピードを改善するもので、損害調査費の節約につながっています。お客様には保険金をより早く支払えるようになり、個別のサポートを必要とするお客様に担当者がより長時間対応できるようにもなります。

 

――これまでのところ、どこで最も大きな成果が出ていますか?

クロップ氏:取り組みを進めるにあたって、弊社は最初に1つの根本的な問いに向き合いました。まずスリム化から始めてそれからデジタルに集中していくか?または、最初からデジタル面を中心に取り組むべきか?という問いです。

結果、まずは組織のスリム化が必要だと判断しました。必要以上に複雑になっているプロセスを形だけデジタル化したところで、最高の結果は得られません。ですから、この2年間で相当なリソースを投資して製品ポートフォリオ、プロセス、そしてそれを支えるITシステムのスリム化に取り組みました。

その結果、アプリケーションの30%を廃止し、残ったもののうち40%をクラウドに移行しました。50を超えていたデータセンターは統合して、現在ではわずか15になっています。また、グローバルネットワークをアップグレードしました。こうした一連の取り組みによって、デジタルソリューションを提供するために必要な技術的基礎を、最適なスピードで築くことができました。

ですが、事業の土台をなす既存の業務のスリム化とモダナイゼーションをただそのまま続けているわけではありません。弊社は将来に向けて新たな機能も構築しています。これは、より長期的なスパンでのビジネストランスフォーメーションにつながるものです。

例えば、弊社はお客様が本当に必要とするものに集中していきます。リアルタイムなロードサービスの提供など、すでに目に見える成果が出ており、より広義でのエコシステムを実現していっています。

弊社は、エコシステムの力を信じています。戦略提携のみを通じて協力しているわけではなく、InsureTechやスタートアップの力も活用して継続的に新しい取り組みを行っています。

※チューリッヒ・インシュアランス・グループが実践するデジタルトランスフォーメーション、また企業文化に与えた影響、乗り越えたハードルなど、詳しくはQ&A全文(英語)をご覧ください。